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さかご(骨盤位)と言われたら
〜帝王切開を避ける選択肢「骨盤位外回転術」について〜
こんにちは。清水バースクリニック院長の小原です。
健診で「赤ちゃんが逆子(骨盤位)ですね」と言われ、驚いたり不安になったりしている妊婦さんも多いのではないでしょうか。今回は、さかごの実際の経過や「骨盤位外回転術」のメリット・リスクについて分かりやすく解説します。
実は「妊娠前半」はみんな逆子?知っておきたいさかごのリアル
健診の早い段階で「逆子ですね」と言われると焦ってしまうかもしれませんが、実は妊娠前半の段階では、むしろ逆子の赤ちゃんのほうが多数派です。赤ちゃんは子宮の中でくるくると元気に動き回っているため、向きが頻繁に変わります。
妊娠30週頃までの逆子は、何もしなくても8〜9割が自然と頭が下(正期産の向き)に戻ります。
よくネットやSNSで、「逆子矯正の〇〇は母体にも胎児にも安全で、できるだけ早い週数(28週以降)で施術を開始すれば頭位に戻る率も高く・・・」といった鍼灸、整体などの広告を見かけることがあります。実はこの治療、あなたでも今すぐ行うことができます。あなたは何をすればいいかというと、何もしなければいいのです。種明かしをすれば、妊娠28週の逆子の8~9割以上は何もしなくても自然に治るからです。高額な施術に通ったり、焦ったりする必要はありません。
問題になるのは、赤ちゃんが大きくなって子宮内のスペースが狭くなり、自力で回れなくなる妊娠32~34週以降も骨盤位のまま経過した場合です。
骨盤位(さかご)と分娩方法の選択肢
多くのクリニックや病院では、さかご(骨盤位)と診断されると「予定帝王切開」の一択になることが一般的です。お産が近づいても骨盤位のままの場合、分娩方法には主に以下の選択肢があります。
- 骨盤位外回転術(当院で選択可能)
- 予定帝王切開(当院で選択可能)
- 骨盤位経腟分娩(※当院では行っておりません)
※骨盤位のまま下から生む経腟分娩は熟練を要し、予定帝王切開に比べて赤ちゃんが無事に生まれる確率が低いことが分かっているため、当院では安全を第一に考えて行っておりません。
当院が行う「骨盤位外回転術」とは?
「骨盤位外回転術」とは、自然治癒が難しくなる妊娠37週頃に、医師がお腹の上から手を当てて赤ちゃんを優しく回し、頭を下に向かせる医療処置です。
当院での成功率は約80〜85%です。もっと成功率が高い施設もあります。そのような施設の多くは、成功確率が低そうな症例(胎盤が前側についている、羊水が少ない、へその緒が赤ちゃんに巻き付いているなどなど)は最初から帝王切開をお勧めしていることが多いです。ただ、私にこの処置を教えてくれた指導医は正にゴッドハンドでした。回転に成功すれば、帝王切開ではなく通常の経腟分娩(自然分娩や無痛分娩)を目指すことができます。
安全・確実に実施するための取り組み
当院では、万全の安全管理体制のもとで外回転術を行います。
- 2泊3日の入院で実施:経過をしっかり観察するため、入院下で行います。
- 手術室で実施:万が一、処置中に赤ちゃんが苦しがった場合でも、すぐに緊急帝王切開に切り替えられるように準備を整えています。
- 下半身麻酔(脊髄くも膜下麻酔)を使用:帝王切開と同じ麻酔を行います。お母さんの痛みをゼロにすることでお腹の緊張がほぐれて成功率が上がるだけでなく、急な帝王切開への切り替えが必要になった際も迅速に対応できます。
- 張り止めの点滴と超音波(エコー)観察:子宮の張りをおさえる点滴を使用し、常にエコーで赤ちゃんの心拍数や動きを確認しながら慎重に進めます。
外回転術のスケジュール(2泊3日)
当院での一般的な入院スケジュールは以下の通りです。
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【入院1日目】入院・手術の準備を行います。
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【入院2日目】手術室にて外回転術を行います。
- 成功した場合:病棟に戻り、翌日まで赤ちゃんの心拍やお腹の張りをモニターで観察します。
- 回転しなかった場合:そのまま帝王切開術へ移行します。
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【入院3日目】退院診察を行い、問題がなければ退院となります(その後は通常の妊婦健診へ)。
合併症・リスクについて(正直にお伝えします)
どのような医療処置にもリスクは存在します。嘘のない範囲でしっかりお伝えします。
- 胎児機能不全(赤ちゃんの一時的なストレス):処置中に赤ちゃんの心拍が下がることがありますが、多くは短時間で回復します。もし回復しない場合でも、すでに麻酔がかかった状態で手術室にいますので、即座に帝王切開へ切り替えることができます。そのため、赤ちゃんに後遺症が残る心配はほぼありません。
- 常位胎盤早期剥離(胎盤がはがれること):頻度は1%未満と非常に稀です。私はこれまでの外回転術で経験したことはありません。
- 破水や陣痛の発来:もし逆子が治った状態で陣痛が来たり破水したりした場合は、そのまま経腟分娩に進みます。
疑問:「さかご体操」は効果があるの?
「さかごと言われたら体操をした方がいいですか?」とよく質問されますが、私は「さかご体操」をお勧めしていません。むしろやらないことをお勧めしています。
- 医学的にさかごを治す明確な効果が証明されていないため
- 体操によってお腹が張りやすくなり、かえって赤ちゃんが回りにくくなるため(お腹の張りを取りすぎると逆に逆子が治りにくくなる可能性もありますが)
- お腹の張りによって早産のリスクが高まるため
前述の通り、妊娠30週頃までは何もしなくても自然に治ることがほとんどです。無理な体操でお腹を張らせるリスクを冒す必要はありません。
妊娠中期までの「さかご」は過度に心配する必要はありません。しかし、週数が進んでも治らず、それでも「できれば帝王切開を避けて経腟分娩で生みたい」と願うお母さんにとって、外回転術は非常に有効な選択肢となります。
「さかごと言われたけれど諦めたくない」「外回転術について詳しく話を聞いてみたい」という方は、ぜひお気軽に清水バースクリニックまでご相談・お問合せください。






