無痛分娩
無痛分娩
病院や施設によって「無痛分娩」「和痛分娩」「分娩鎮痛」など呼び方が異なりますが、行われている処置や内容は基本的に同じです。
無痛分娩
一般的に最もよく使われる名称です。完全に「無痛」にすることも可能ですが、快適性、安全性、満足度を考慮して、痛みが少しだけ残るように調節することがほとんどです。ただし、実際にはわずかな時間帯を除き、無痛になってしまうことが多いです。
和痛分娩
「痛みを完全に無くすのではなく、和らげる」という特徴を強調した呼び方です。
分娩鎮痛(分娩時鎮痛)
英語の「Labor Analgesia(陣痛・分娩の痛みを抑える処置)」に対応する、医学的・学術的な表現です。
※ なお、海外でも「痛みが完全にないお産(Painless labor)」ではなく、「陣痛の痛みを抑える(Labor analgesia)」という表現が用いられています。
まずは無痛分娩外来にてご相談いただくことをお勧めします。迷われている方の中には、無痛分娩が最適解ではない方もよくいらっしゃいます。あなたに最適と思われる分娩方法をご提案いたします。
また、どっちにするか決めずに陣痛を迎える方もいらっしゃいます。その場合、①解説動画を見てフォームから申し込み、②妊娠36週で血液検査、③陣痛が来たら絶食、にしておけば、麻酔なしでは無理だと思った時点でいつでも無痛分娩に切り替えられます。
最後まで決めずに、陣痛が来てから決めることも可能です。
先ほどもお話ししたように、①解説動画を見てフォームから申し込み、②妊娠36週で血液検査、をそれぞれ済ませて、③陣痛が来たら絶食にしておけば、いつでも無痛分娩に切り替えられます。
理論上は痛みをゼロにすることは可能です。しかし、分娩の順調な進行を考えたとき、痛みをゼロにしない方が良いと考えられています。そのため多くの施設と同様、当院でも痛みを完全にゼロにはせず、想像できる最悪の痛みを10とした場合に、痛みを2〜3以内に抑えるようにしています。
経産婦さんの場合はほとんど変わりません。
初産婦さんでもオンデマンド無痛分娩の場合は、1時間も変わらない印象です。
初産婦さんの計画無痛分娩では、計画分娩自体がうまくいかないことがあり、その場合は日単位で分娩が長引くことがあります。
これはときどきあります。
経産婦さんの場合は、息む感覚がわからなくて強い息みが入らなくても、産道が軟らかいので結構普通に産むことができます。
初産婦さんの場合は、強い息みが入らないと赤ちゃんがなかなか下がってこないので、麻酔を少し浅くして対応することがあります。
以下の手続きをお済ませであれば、途中から無痛分娩にきりかえすことができます。
① 無痛分娩の解説動画を視聴して、申し込みフォームより手続きを行っている
② 妊娠36週で無痛分娩用の採血(2,000円)を受けている
③ 陣痛が来た後は絶食にしている
普通分娩と全く同じように立ち会いが可能です。
無痛分娩の追加費用は15万円です。保険適応外(自費)となります。なお、たとえ十分な効果が得られなくても、途中で帝王切開に切り替わっても、無痛分娩を開始した時点で料金が発生します。
大変恐縮ですが、やはり15万円かかります。無痛分娩を開始した時点で料金が発生します。
料金はそのまま15万円いただいています。帝王切開の場合は、無痛分娩用の硬膜外カテーテルを抜去して脊髄くも膜下麻酔を行い、術後の痛み止め用にもう少し上の背中から硬膜外カテーテルを挿入します。また、無痛分娩用のカテーテルから濃度が高い局所麻酔薬を多めに注入して帝王切開を行うこともあります。
なお、無痛分娩を開始する前に帝王切開へ切り替わった場合は、勿論15万円はかかりません。
予約は必要ありません。外来で医師またはスタッフにお申し出いただければ結構です。いつまでに決めなければならないということはありませんが、無痛分娩の説明を受けて同意書を提出し、妊娠36週以降に無痛分娩用の採血を受けておく必要があります。
はい、可能です。当院では無痛分娩の予約制限を設けておりません。他の施設で妊婦健診を受けていても、妊娠34週までに当院を受診していただければ無痛分娩は可能です。必ずかかりつけの先生のご了解を頂いて紹介状をお持ちください。
以下の3つの条件を満たしていれば可能です。
① 無痛分娩の解説動画を視聴して、申し込みフォームより手続きを行っている
② 妊娠36週で無痛分娩用の採血(2,000円)を受けている
③ 陣痛が来た後は絶食にしている
可能です。無痛分娩の講習を受けて、妊娠36週以降に必要な血液検査を受けていて、陣痛開始後に絶食にしていれば、急遽無痛分娩に切り替えることは24時間365日可能です。
ご希望の日に必ずできるとは限りません。他の方と予約が重なってしまった場合や、こちらの事情でどうしてもできない場合があります。また、土日は基本的に受け付けておりません。
はい、当院では中期中絶でも無痛分娩が可能です。
背骨の硬膜外腔という空間に入れるそうめん位の太さの細い管(カテーテル)です。腰のあたりに局所麻酔の注射をしてから太めの針を刺し、そこを通して細いカテーテルを入れます。このカテーテルから局所麻酔薬を投与することで、痛みを和らげます。
さほど痛がる方はいらっしゃいません。
横向きに寝て、エビのように背中を丸くしていただきます。といってもそこまで丸くなる必要はありません。気を付けをして、顎を引いて、膝を臍になるべく近づけて、へそを引っ込める感じです。条件によっては座って麻酔をすることがあります。
腰のあたりに非常に細い針で局所麻酔の注射をしてから、硬膜外麻酔用の針を刺します。痛みというより奥の方が不快な感じと仰る方が多いのですが、痛みは全くなかったという方もいらっしゃいます。そこを通して細いカテーテル(管)を入れます。
オンデマンド無痛分娩の場合は、たとえ子宮口があまり開いていなくても産婦さんが希望された時点で開始します。私が研修医の頃は子宮口が4cm開くまでは無痛分娩をしない方が良いと教わりましたが、それは昔の話です。
計画無痛分娩の場合、経産婦さんには陣痛が来る前から麻酔を開始しています。初産婦さんの場合は、ご希望の時点で麻酔を開始します。ただし、これはあくまで原則であり、安全性の許す限り一人一人のご要望に沿った無痛分娩にすることは言うまでもありません。
無痛分娩で通常使用するロピバカインという薬はゆっくり長く効くため、効果が十分に出るのに15〜20分ほどかかります。急いで痛みを取り除きたいときはリドカインという別の薬を使うことがあります。さらに急ぐ場合は、これに炭酸水素ナトリウムというお薬を少し加えることがありますが、そこまで急ぐ必要があることはほとんどありません。
麻酔薬を一気に投与すると、局所麻酔薬中毒が一気に重症化する恐れがあります。いつカテーテルが血管の中に入り込むか予想できませんので、局所麻酔薬を少しずつ何度かに分けて投与します。そのため、麻酔はすぐには効きません。
あります。カテーテルが正しい位置に入っていても麻酔薬を使いすぎると局所麻酔薬中毒が発症します。そのため、たとえ痛みが十分に取れていなくても、薬の量が多すぎて危険だと担当医が判断したときは、麻酔薬の追加を控えることがあります。
無痛分娩中に歩くと、稀に足の力が入らず転倒する可能性があるため、歩行はご遠慮いただいています。そのため膀胱内にカテーテル(管)を入れておきます。無痛分娩の麻酔が効いているので、管を入れても痛くありません。この管はお産の直前に抜きます。産後は約2時間後からご自身でトイレへの歩行が可能になります。
麻酔が落ち着いていれば、少量の水分を摂取することが可能です。ただし食事は禁止しています。
麻酔の影響で足の力が抜けて転倒する可能性があるため、歩行は禁止しています。ただし、ベッド上で体勢を変えることは可能です。左右を向くだけでなく、座ったりすることも可能です。
計画分娩は前日入院です。
<1日日>子宮口を開くために「ミニメトロ」と呼ばれる水風船を子宮口に入れ、1晩かけて子宮口を開きます。子宮口が硬い場合は、「ダイラパン」という水分を吸収して膨らむ棒を子宮口にいれることがあります。
経産婦さんの場合は、翌日に備えて硬膜外麻酔のカテーテルを入れておきます(麻酔はかけません)。
<2日目>朝から陣痛促進剤の点滴を開始します。経産婦さんの場合は、前日にいれた硬膜外麻酔のカテーテルから麻酔薬を注入して麻酔をかけてしまいます。初産婦さんの場合はご希望の時点で硬膜外麻酔のカテーテルを挿入して麻酔を開始します。
この日にお産になる確率は、経産婦さんで9割、初産婦さんで6-7割です。お産にならなかった場合は、麻酔を止めて夕ご飯を召し上がっていただき、3日目にもう一度陣痛促進剤を点滴します。
<経産婦さん>38週以降であればいつでも結構です。
<初産婦さん>オンデマンド無痛分娩をお勧めしていますが、計画無痛分娩を強くご希望の場合は、早くても妊娠39週としています。
・妊娠37週の時点で子宮口の状態が良くなかった方 →妊娠40週での計画無痛分娩を
・妊娠37週の時点で子宮口の状態が良かった方 →妊娠39週での計画無痛分娩を
・妊娠37週の時点で子宮口の状態がどちらともいえない方 →毎週内診を行って子宮口の状態をみて判断します
計画無痛分娩で入院された日に行う子宮口を開くための「ミニメトロ」という水風船や、水分を吸収して膨らむ細い棒「ダイラパン」を入れるときは、通常麻酔を使用しません。これは、この処置で麻酔を希望されるほど痛がる方があまりいらっしゃらないためです(数年に一人くらいはいらっしゃいますが)。
もしご心配でしたら、前日(入院日)の朝食以降は絶食にしてお越しいただければ、麻酔をしてから処置を行うことも可能です。
ミニメトロの刺激でお腹が痛くなる方はいらっしゃいます。多くの場合は、子宮口が開いてミニメトロが腟内に抜けてくると痛みが軽くなります。
稀にミニメトロの刺激で自然に陣痛が来ることがありますが、ご安心ください。当院では24時間365日無痛分娩を行うことができますので、ご希望のタイミングで無痛分娩を開始いたします。
初産婦さんと経産婦さんでタイミングが違います。
<経産婦さん>お産当日の朝、まだ陣痛が来る前から麻酔を開始します。
経産婦さんは陣痛促進剤が急激に効いてくることがあるため、痛みが出てから麻酔を始めていては間に合わないためです。なお、カテーテルは前日の午後に予め入れておきます。原則前日に麻酔薬は入れませんが、最近感染を予防するために生理食塩水もしくは非常に薄い麻酔薬を持続的に注入しておくことがあります。
<初産婦さん>お産当日、陣痛促進剤によって痛みが強くなり、産婦さんが希望されたタイミングで行います。
陣痛促進剤を開始する前から麻酔を始めてほしい方にはそのようにすることもできます。しかし、初産婦さんの場合、予定した日にお産になる確率は6~7割くらいなためカテーテルが入っている時間が長くなりやすく、カテーテルから細菌が入り込んだり、カテーテルが抜けたりするおそれがあります。
計画分娩より前に自然に陣痛が来た場合でも、その時点で無痛分娩を受けることができます。
当院では24時間365日、無痛分娩に対応しております。
経産婦さんとオンデマンド無痛分娩の初産婦さんは、帝王切開の確率は高くなりません。
一方、初産婦さんの計画無痛分娩では、帝王切開の確率が1〜2割ほど高くなる印象があります。これを防ぐために低濃度の局所麻酔薬を使うようになってきましたが、麻酔の効果とはトレードオフの関係ですので、なかなか難しいところです。
当院の経験では、無痛分娩で血圧が低下することはほとんどありません。脱水状態では血圧が下がりやすいため、十分な点滴をしてから麻酔を開始するようにしています。
麻酔が効かないことはあります。最も多い原因はカテーテルが正しい位置に入っていないことで、その場合は直ちにカテーテルの入れ直しを行います。約1割の方で入れ直しが必要になります。
カテーテルが自然に抜けてくると途中で麻酔が効かなくなることが稀にありますが、多くの場合は入れ直しで解決します。
体質によって麻酔が効かないということは通常ありません。前回の無痛分娩で十分な効果が得られなかった場合は、医師の技術的な問題である可能性が高いと考えられます。当院では麻酔の効果が十分出るまで対応いたしますので、ご安心ください。
大きな影響はありません。ただし、発熱すると赤ちゃんはより多くの酸素を必要とするようになります。そのため発熱した場合は、体を冷やしたり、あまり有効とは言われていませんが解熱剤を使ったりして体温を下げるようにしています。
局所麻酔薬の血中濃度が過剰に高くなった場合に発生する合併症です。重症化すると痙攣・不整脈・心停止に至ることがありますが、通常の方法で行っていれば軽症のうちに発見が可能です。
皆さんに必ず覚えておいてほしい初期症状は、「耳鳴り」「唇や舌のしびれ」「金属の味」「めまい」などです。これらの時点ではモニターではあまり変化がでないため、早期発見には自覚症状が非常に重要です。これらの症状を感じた場合は、直ちにスタッフにお申し出ください。軽症のうちに発見できれば救命は比較的容易です。
重篤な合併症が発生した場合は、必要な初期対応を行いながら直ちに大きな総合病院へ搬送いたします。これまで日本で発生した無痛分娩による死亡例のほとんどに対して、当院で救命のために最低限必要な初期対応は可能だと考えています。
長期的には赤ちゃんへの影響は全くありません。
ただし短期的には、長引いたお産で赤ちゃんが疲れてしまい、生まれた後に酸素投与や保育器への収容、点滴が必要になる可能性が少しあります。
オンデマンド無痛分娩や経産婦さんの場合はあまり心配しなくて大丈夫です。
以前、海外の医学雑誌に無痛分娩と自閉症リスクの関連が報告されましたが、現在ではその関連を否定する見解がほとんどです。
200人に1人くらいの割合で起こります。
これは、くも膜下腔誤穿刺といって硬膜外麻酔の針が少し深く入り、脳や脊髄が入っている袋を傷つけるために起こります。寝ていると大丈夫ですが、起き上がると頭が割れるように痛みます。通常は1週間程度で自然に治ります。なかなか改善しない場合は「自己血パッチ」という治療法があります。
ありません。
はい、夜中や休日でも24時間365日対応しております。状況によっては非常勤医師が対応することもございます。
院長はこれまで25年間無痛分娩をおこなっております。概ね年間数十例程度ですので少なくとも1,000例の無痛分娩を行っており、帝王切開の麻酔も含めると硬膜外麻酔はその2倍以上になります。
受けられない主な状態は以下のとおりです。
凝固異常(血液が固まりにくい病気)は背骨の中に内出血を起こし永続的な麻痺が残る可能性があるため受けられません。また、麻酔をする腰の部分に炎症がある場合や、局所麻酔薬のアレルギーがある場合も受けられません。側弯症は状態によって異なるためエコーで確認します。
当院ではBMIが35以上の方の分娩自体をお断りしています。BMIが35未満の方でしたら、硬膜外麻酔ができないことはほぼないと思われます。
正直に申し上げると大して変わりがないと思います。初産婦さんでは疲労を抑えられるため産後の回復が早いことが多いですが、難産になりやすく会陰切開が大きくなることもあるため、逆に産後の回復が遅れることもあります。経産婦さんの場合は分娩時間が短いため、無痛にしてもしなくても大差ないようにお見受けします。
母乳への影響はないとされています。
無痛分娩の後に足のしびれや感覚の鈍さが続く場合は異常な兆候です。他にも排尿障害などにも注意が必要です。これは、背骨の中に内出血を起こしている硬膜外血腫の可能性があるためで、精密検査(MRI)が必要です。高次施設へご紹介します。
日本全国では2024年に出産した方の16.2%が無痛分娩を選択されています(日本産婦人科医会調べ)。静岡県では同年7.6%と全国平均より低い水準です(日本産婦人科医会調べ)。当院では2026年4月に分娩を再開したばかりですが、現在はおよそ40〜50%の方が無痛分娩を選択されており、全国平均を大きく上回っています。
無痛分娩の説明会は廃止し、お好きなタイミングでご覧いただけるよう解説動画を準備いたしました。
個別相談をご希望の方は、無痛分娩外来をご受診ください(初産婦さんは必須)。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 無痛分娩(血液検査費用込み) | 150,000円 |
計画無痛分娩の場合は、1日分の入院費、分娩誘発の費用が別途必要です。
オンデマンド無痛分娩の追加料金はございません。