
こんにちは、院長の小原です。
妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」。
世間では「妊娠初期にはよくあること」「誰もが通る道だから」と一言で片付けられがちですが、つわりは我慢すべきものではありません。休養や治療が必要な、ひとつの「病気」です。
「これくらいで受診していいのかな」「お薬を飲むのは赤ちゃんに良くないのでは」と一人で抱え込まず、辛いときは遠慮なくご相談ください。今回は、当院におけるつわりの考え方や治療についてお話しします。
1. つわりを我慢しすぎてはいけない理由
「つわりくらいで…」と極限まで我慢を続けてしまうと、体に重大な危険が及ぶことがあります。
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ウェルニッケ脳症(ビタミンB1欠乏症)
激しい嘔吐や絶食状態が続くことで、体内のビタミンB1(チアミン)が著しく不足すると、意識障害や歩行障害などを引き起こす「ウェルニッケ脳症」という重大な後遺症を残す病気につながる恐れがあります。 -
血栓症(肺塞栓など)
水分が摂れずに重度の脱水症状に陥ると、血液がドロドロになり、血管に詰まる血栓症を引き起こして命に関わるリスクが高まります。私自身、これまで妊産婦さんの血栓症を4例経験していますが、そのうち3例がつわりの方でした。
つわりは精神力で乗り切るものではありません。体が限界を迎える前に、必ず医療機関を頼ってください。
2. 受診・入院を考える目安
次のような症状にひとつでも当てはまる場合は、我慢せずにご相談ください。当院では入院による治療をおすすめする目安としています。
- 妊娠前から体重が3〜5kg減った
- 尿が1日に2〜3回しか出ない
- 水を飲んでも吐いてしまう
3. 当院でのつわり治療(吐き気止め・ビタミン補給)
当院では、少しでもつわりを軽くできるよう、症状やご希望に合わせてさまざまな選択肢をご用意しています。
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ビタミンB6
つわりの吐き気を和らげる効果が認められており、基本となる栄養補給・治療として積極的に使用します。 -
メトクロプラミド
世界中で長年広く使われている吐き気止めです。妊婦さんに対する安全性が非常に高く評価されているため、内服や点滴で安心してお使いいただけます。 -
オンダンセトロン(海外で主流のお薬)
海外のつわり治療ではよく用いられる効果的な吐き気止めです(帝王切開時の吐き気止めとしても大変有効です)。※日本ではつわりに対して保険適用外となりますが、当院ではご希望の方に処方・使用しています(1錠数百円・自費診療)。
外来での点滴(水分やビタミン、吐き気止めの補給)を受けるだけでも、かなり楽になる方が多くいらっしゃいます。
4. 休養の大切さと、休業サポートについて
ご自宅にいると「赤ちゃんのために無理にでも食べなきゃ」「水分だけでも取らなきゃ」と焦ってしまい、かえって悪循環に陥ることがよくあります。
実は、入院して2〜3日ほどしっかり休養(絶食と点滴)をとるだけで、劇的に体調が改善する方がたくさんいらっしゃいます。自宅で頑張りすぎず、一度しっかり胃腸と体を休めることが大切です。
当院では、つわりの時期は「しっかりと休業して体を休めること」がとても効果的な治療法だと考えています。
「仕事を休んで治療に専念したい」「会社に提出する診断書や母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)がほしい」といったご希望があれば、遠慮なくご相談ください。医師の立場からしっかりと休養をお勧めし、必要な書類の作成やサポートを積極的に行います。






