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第21回 妊娠初期でも、まず「お腹からの超音波」を行う理由
妊娠初期の患者さんを診察していると、お腹の上から超音波を始めたときに、
「えっ、もうお腹から見るんですか?」
と言われることがあります。
たしかに、妊娠初期は腟からの超音波で診察するのが一般的です。
そのため、「まだこんなに小さいのに、お腹から見えるの?」と思われる方もいらっしゃるのだと思います。
では、なぜ私は妊娠初期でもまずお腹から超音波を見るのか、
今回は、その理由についてお話ししたいと思います。
妊娠初期でも「お腹から見る」2つの理由
1.腟からの超音波検査を、できるだけ減らしたい
妊娠初期は、まだ子宮や赤ちゃんが小さいため、お腹の上からでは十分に確認できないことが少なくありません。
そのため、赤ちゃんの状態を詳しく確認するには、腟からの超音波(経腟超音波)のほうが適していることがほとんどです。
ただ、検査を受ける女性にとっては、内診台に上がって腟内に検査機器を挿入されることは、決して気軽な検査ではないと思います。私がもし女性なら、1秒でも早く内診台から降りたいと思います。
だからこそ、
お腹から確認できるところは、時間の無駄になるかもしれないけれども、まずお腹から見てみる。
そんな診察を心がけています。
もちろん、経腟超音波でなければ確認できないこともあります。
お腹からの超音波で十分に確認できなかった場合や、卵巣などの状態を詳しく確認する必要がある場合、妊娠週数をより正確に判断する必要がある場合などには、経腟超音波を行います。
「経腟超音波をしない」のではありません。
必要なときには行う。
そのうえで、できるところはお腹から見る。
それが私の考えです。
2.赤ちゃんを「ゆっくり」見てほしい
そして、こちらのほうが大きな理由かもしれません。
妊娠初期には、お腹からの超音波検査ではまだ赤ちゃんの姿がはっきり見えないこともあります。
それでも、もし見えれば
「ここが赤ちゃんのお部屋ですよ」
「ここで心臓がピコピコ動いていますね」
「2~3cmくらいの赤ちゃんが、モニョモニョ動いていますよ」
と説明しながら、ゆっくりと赤ちゃんをご覧いただくことができます。
経腟超音波でも、もちろん赤ちゃんを見ることはできます。
ただ、内診台で足を開き、腟の中に超音波の器械が入っている状態で、ゆっくり赤ちゃんを眺めるというのは、なかなか難しいものです。
だから私は、
「診察のために赤ちゃんを見る」のと同じかそれ以上に、
「赤ちゃんを見てもらう時間」も大切にしたい
と考えています。
🌸 もちろん、お一人おひとりのご希望を大切にします
ここまで書いておいてですが、これはあくまで私自身の考えです。
「できれば腟からの検査は少ないほうがいい」
という方もいれば、
「二段階になるくらいなら、最初から経腟超音波で手早く確認してほしい」
という方もいます。
「上の子が待っているので、できるだけ短時間で診察を終わらせたい」
という方もいるでしょう。
どの考え方が正しいということではありません。
ご希望があれば、最初から経腟超音波を中心に、できるだけ短時間で診察することも可能です。
医学的に必要なことはきちんと行いながら、
その方にとって無理のない診察を一緒に考える。
それが私の目指している診療です。
💡 必要な場合には、経腟超音波も行います
妊娠初期は、お腹からでは十分に確認できないことも少なくありません。
その場合には、経腟超音波を行います。
また、卵巣などの状態を詳しく確認する必要がある場合や、妊娠週数をより正確に判断するために赤ちゃんの大きさを測定する必要がある場合などにも、経腟超音波を行うことがあります。
一度お腹から見て、さらに腟から見る。
医療スタッフや診療の効率だけを考えれば、少し手間の増える方法かもしれません。
それでも私は、
「せっかく妊娠して初めて産婦人科に来てくださったのだから、赤ちゃんを見てもらう時間も大切にしたい」
と思っています。
同じ想いを持つ医師との出会い
「こんなふうに、妊娠初期から経腹超音波を行っている医師は、きっと他にはあまりいないだろうな……」
そんなことを、どこかで思っていました。
ところが先日、とても嬉しいことがありました。
なんと、当院の理事長であり、焼津バースクリニック院長の美馬先生も、私と同じように、妊娠初期から経腹超音波を行っていたのです。
患者様の気持ちを大切にしながら、できるだけ丁寧な診察をしたい。
そんな考えを持って診療されていることを知ったとき、
「ああ、この理事長にお世話になって良かったなー」
と思いました。
おわりに
妊娠初期の診察では、医学的に必要な検査をきちんと行うことがもちろん大切です。
その一方で私は、妊婦さんが初めて見る小さな赤ちゃんを、
「検査の対象」としてだけではなく、
「これから生まれてくる自分の赤ちゃん」として、
ゆっくり見てもらう時間
も大切にしたいと思っています。






