
帝王切開も、私は「お産」だと思っています。
もちろん、帝王切開は手術です。
安全に行うことが何より大切ですし、手術室にはさまざまなルールがあります。
でも、その日が赤ちゃんの誕生日であることには変わりありません。
以前、私が周産期センターの部長をしていたとき、帝王切開の夫立ち会いを始めました。
きっかけは、帝王切開を受ける産婦さんを見ていて、ずっと感じていたことです。
帝王切開では、赤ちゃんが一緒にいるとはいえ、産婦さんは手術台の上で、怖い手術に向き合うことになります。
不安になったり、少し気分が悪くなったりして、涙を流してしまう方もいます。
そんな産婦さんの不安や恐怖が少しでも軽い状態で赤ちゃんを迎えてほしい。
できれば、一番身近な人にもそばにいてもらいたい。
そんな思いから、夫立ち会い帝王切開を始めました。
実際にやってみると、面白いこともありました。
もちろん、ご主人が産婦さんを励ます場面もあります。
ところが、ときには……
不安そうなご主人を、産婦さんが
「大丈夫だよ」
と励ましていることすらあります。
……どちらが手術を受けるんでしたっけ(笑)。
でも、私はそんな光景もいいなと思っています。
夫婦で一緒に赤ちゃんを迎えている。
それだけで、その時間の意味が少し変わるように感じます。
もちろん、夫が立ち会えば何でもいい、という話ではありません。
「夫が気分を悪くして倒れたらどうするの?」
「手術室で何かあったら?」
という心配もあるでしょう。
医療では、確率が低いことでも、起きたときに困ることにはきちんと備えなければいけません。
だからこそ、立ち会う方への説明を行い、安全に座っていただける椅子を用意するなど、最初から対応を考えておく。
私は、そういうふうにして安全に実現する方法を考えたいと思っています。
当院でも、夫立ち会い帝王切開を実現したいと考えています。
ただ、当院の手術室は決して広くありません。
感染対策やスタッフの動線など、解決しなければならないこともあります。
ですから、まだ「明日から始めます」とは言えません。
でも、以前に自分で始めて、実際に行ってきた経験があります。
だからこそ、
「できない理由」を探すのではなく、
「どうしたら安全にできるのか」
を考えていきたいと思っています。
帝王切開も、お産です。
その日を、できるだけ家族で迎えられるように。
怖い手術に立ち向かう産婦さんに、少しでも安心と勇気を。
そして、赤ちゃんの誕生を家族で迎える時間を。
そんな帝王切開ができないか、今、考えています。






